「連合学習」とは、2つの物事が互いに関係していることを覚えるというタイプの学習です。連合学習の中にも「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」と呼ばれる2種類があります。
古典的条件付けというのは、2つの刺激を関連づける学習を指します。有名な例は「パブロフの犬」でしょう。20世紀初頭、イワン・パブロフはイヌに繰り返しある音を聞かせてから餌を与えるというトレーニングをしました(右図3)。するとイヌは音と餌の関連性を学習し、音を聞いただけでよだれを垂らすようになりました(右図4)。音が餌を予見させるものであると学習し、体はもう来たるべき餌に備えて準備しているという状態になったわけです。
オペラント条件付けは、自身が起こした行動とその結果起こることを関連づける学習を指します。もっとも有名な例はスキナー・ボックスです。 B.F. スキナーは、レバーを押すと餌が出る仕掛けのある箱にラットを入れました。パブロフの犬との違いは、ラットにレバーを押すという自分のアクションによって報酬が得られる、と学習させた点です。それによって、ラットはもっと餌を得ようとレバーを繰り返し押す行動をするようになります。
ショウジョウバエの幼虫のように単純な生物でも、両方の方法で学習させることが可能です。私たちの研究室でも連合学習を用いたプロジェクトに取り組んでいます。もちろんハエの幼虫にレバーは押せないので、科学者らは様々な方法で幼虫にも連合学習能力があることを証明しました。ショウジョウバエの幼虫を使った古典的条件付けやオペラント条件付けの論文を下に紹介します。
ショウジョウバエ幼虫で古典的条件付け実験を行うための多言語マニュアル(日本語でも解説されています):https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnbeh.2017.00045/full
ショウジョウバエ幼虫でオペラント条件付けに成功した研究論文: https://elifesciences.org/articles/70015