ドーパミンは私たちの脳で働いている神経伝達物質です。神経伝達物質というのは、神経細胞から放出され、別の神経細胞がそれを受け取ることによって情報を伝達し合っている物質です。ドーパミンには意欲、睡眠サイクル、注意力や運動の開始など様々な役割があることが知られています。
中でも有名なドーパミンの役割として、報酬の伝達があります。ドーパミンは私たちに何かいいことが起こった時や何かを達成した時に放出されるので、「報酬ホルモン」や「幸せホルモン」などと呼ばれることもあります。ドーパミンは他の多くの生き物でも同様に働くことがわかってきています。ドーパミンの機能というのは様々な生物で共有されているようです。
依存症はドーパミン系が過剰に活性化された結果起こると考えられています。ドーパミン報酬系がもたらす快感に依存していまい、それを繰り返し欲してしまうのです。ところがドーパミンは予測よりもさらに強い刺激を受けた時にしか放出されません。そのため、依存症患者はもっともっと、とさらに強い刺激を求めてしまうのです。
ショウジョウバエにおいてもドーパミンは報酬の情報を伝えていることがわかっています。しかしショウジョウバエでは、報酬系ではないドーパミン細胞が罰の情報伝達を担っています。最近、実は哺乳類でも似たような仕組みになっているということがわかってきました。私たちの研究室でも報酬と罰の神経回路について研究しています。